―各県が直面する課題について討議―
2015年度第1回自治労自治体議員連合全国学習会が東京都「東京プラザエフ」において開催され、参加しました。この学習会は、全国の自治体出身の組織内議員で構成される連合体で、年2回程度学習会が開催され、市町村議員から県会、国会議員まで約300名が集まりさまざま課題について講演や分科会が行われました。
講演① 「人口減少対策および政府の地方創生政策について」
今年5月に消滅可能性が高いとする市区町村名が公表され、全国に衝撃を与えた「増田レポート」の問題点について、全国町村会の坂本誠氏から講演がありました。問題点として、レポートの基礎となっている人口の転出入(社会移動)に関する推計精度は低く、的確にとらえていない、また、レポートが示す人口減少対策として、若者に魅力のある地域拠点都市を中核とした新たな集積構造の構築を主張していますが、地方都市への新たな集中を作りだすだけで農山漁村の疲弊がさらに進みかねないと指摘されました。
いずれにしても、数字に踊らされず、地域を最もよく知っている住民が中心となって地域の将来をしっかりと見つめ、考えていくことが大切であると感じました。
講演② 「医療・介護の連携政策 現状と課題」
厚生労働省医療介護連携政策課長の渡辺由美子氏から地域包括ケアシステム構築の課題について、講演がありました。超高齢化社会の姿として2025年には65歳以上の高齢者が48.4%となり、あわせて認知症高齢者の増加や独居・夫婦のみ世帯の増加してくることが指摘されました。こうした中で、医療と介護の一体改革、医療機能の分化・連携の推進をとおして地域包括ケアシステムを構築していくことが重要と述べられました。
地域包括システムの構築には患者・利用者に対しての訪問診療や介護サービス、訪問看護、一時入院などについて相互連携をはかり、地域(中学校区単位程度)で取り組んでいくことが必要となります。これまでのコミュニティ活動の一層の充実と各関係機関との調整をはかりながら進めていくことが重要であると感じました。

講演する渡辺由美子氏
講演③ 「自治労の課題、地域の課題について」
自治労中央本部から、「地方分権・財政の確立」「給与制度の総合的見直し」「社会保障制度の改革」「臨時・非常勤等職員の処遇改善」についてそれぞれ各局から説明がありました。
特に、地方創生法案(まち・ひと・しごと創生法案)について、過去の政策への検証、反省がない限り失敗に終わる可能性が強く、地方創生を進めれば、人口減少問題が全て解決するかのような見方は見当違いであると指摘がありました。
どんなに人口減少が進んだとしても、最終的な担い手として地方自治体には住民生活の基盤となる公共サービスを提供する義務があります。いかなる自治体においても、公共サービスを確保する視点が必要だと思います。

自治労中央本部からの提起
第1分科会 「当面する課題と政策について」
分科会では、それぞれの課題と政策について各自治体議員からフリートーク形式でさまざまな取り組みや意見が出されました。
主な課題として、人口減少問題やそれに伴う空き家問題、子ども子育て支援新制度に関わる問題や原発問題、被災地の復興などの取組状況について報告や意見がありました。私も一自治体議員として大いに参考になりました。今後もこのようなフリートーク形式の分科会の開催を望みます。

第1分科会での議論