ー2015年度予算の課題、問題点を整理―
・講演①「2015年度予算とアベノミクス」
講師:小泉和重(熊本県立大学経済学部教授)
2015年度予算は、史上最大の96兆3420億円となっています。税収は伸びているものの、消費税の増税により実質賃金はマイナスであり、年金など社会保障費については実質的な削減、負担増を求めるものである、さらに法人税実効税率の引き下げなど大企業に特化した減税策や防衛費の拡大などについて大きな問題があると指摘がありました。
また、デフレ脱却をめざし、持続的成長を掲げるアベノミクスについて、消費税2017年4月に延期したことは量的緩和が続行され、長期金利増の要因を高め、出口戦略が見えないことが指摘されました。
出口が見えないまま経済対策を続行し続ければ、ますます国の借金が膨張するのではないかと懸念されます。
・講演②「2015年度税制改革―アベノミクスに翻弄される税制」
講師:中村良弘(熊本学園大学経済学部教授)
税制改革について、相続税を増税しながら、他方で贈与税の非課税措置を設けて相続税回避の道を開いていることは、生前贈与を促進して有効需要拡大につなげようというもので、経済対策に税を利用するものである。「公平、中立、簡素」という租税原則からますます乖離しつつある、と述べられました。
法人税実効税率の切り下げや相続税・贈与税などの改正は決して大企業や高所得者のための経済対策であってはならないと感じました。
・講演③「2015年度地方財政計画と地方財政―問われる一般財源確保のフレーム」
講師:其田茂樹(地方自治総合研究所研究員)
地方自治体にとって何らかの行革算定が行われるものと考えられるが、行革が地域の元気やまち・ひと・しごと創生につながるものではないこと、今後、さらに歳出削減圧力が進むことが予想され、地方自治体は地方単独事業の内容についての明示化していくことが必要であると指摘がありました。
国の一方的な査定による地方自治体への財源削減はあってはならないことだと思います。また、交付税制度についても措置の削減必要な経費が必要に応じて確保される財政調整制度の「フレーム」を確立していくことの重要性を学びました。