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地方議員研究会

2018年 2月 6日

― 予算議会前に押さえておきたいポイントについて学ぶ ―

 議員研修として、地方議会研究会の「予算審議前におさえておくポイントin大阪」の4講座を受講(講師は森裕之立命館大学政策科学部教授)しました。

●予算審議前におさえておきたいポイント①

国と地方の歳出規模は、地方6割、国4割となっており、教育・福祉・公共事業など内政分野の大部分は地方財政が支えられ、一般財源総額は平成29年度を上回る額を確保したとされていますが、民生費の伸びなどが相殺され、実質にはマイナスとの指摘がありました。重要なのは、自治体が望む政策を実行するための財源である地方税、地方交付税などの一般財源の確保であり、一般財源がなければ国庫支出金・地方債などを受けることができません。また、2018年度地方財政の重点施策としては、公共施設等の適正管理の推進、まち・ひと・しごと創生事業費の確保、歳出特別枠の廃止および必要な歳出の確保があげられていることを学びました。

今後、国の地方財政抑制による財政再建基調の中で、各自治体が留意すべき点として、歳出コントロールは適切に行われているか、国が方向性として地方創生、人づくり革命、生産性革命への重点化を図っているなかで、いかにこれらのパッケージと自治体財政の方向性を関連付けて予算編成を行っているのか、エビデンス(科学的根拠)重視の財政運営を目指す必要があると指摘されました。

出雲市では、近年、財形計画に示している歳出規模はとはかけ離れ、一向に抑制されていません。また、国の方向性に関連付けた予算編成になっているかについても、十分にチェックしていかなければならないと感じました。

●予算議会前におさえておきたいポイント②

地方財政制度改革として、国の方向性として、まち・ひと・しごと創生事業費、公営企業の経営効率化、広域連携、公共施設の集約化・複合化、トップランナー方式をはじめとした歳出効率化に向けたモデルとなるようなものを基準財政需要額の算定に反映しているなどのポイントが示されました。そして、国の予算と地方財政計画との関係として、地方財政計画を通じて地方財源が保障され、その水準によって地方財政(住民サービス)が規定されており、地方税、地方交付税、国庫支出金(補助金)の仕組みについて学びました。

地方交付税は、国が地方の代わりに国税の一部として徴収し、一定の基準に基づいて再配分するもので、地方の固有財源です。このうち普通交付税は、各自治体が標準的な行政を行うために必要な経費のうち、一般財源で賄うべき額(基準財政需要額)が基礎となっており、人口、面積、標準団体を設定した単価、事前的・社会的条件の違いによる補正係数などから決定されるという複雑なものです。

また、自治体の借金である、地方債、特例債の仕組み、歳出における目的別歳出と性質別歳出についても学びました。なかでも、臨時財政対策債については、後年度、基準財政需要額に組み込まれた形で償還されるため、実質的に普通交付税が抑制されていることに注意が必要との指摘は、新たな知見でした。

予算議会での視点として、政府の動きと自治体財政との関係、「地方創生」への誘導、地域の特徴・資源とビジョンに基づいた自治体施策の展開、公共施設の再編問題への対応が指摘されました。出雲市の当初予算を見るうえでも、大きなポイントとなることから、留意しながらチェックしていく必要性があると思います。

●子どもの貧困について

子どもの貧困対策については、2013年の「子どもの貧困対策に関する法律」の制定をはじめ、「ニッポン一億総活躍プラン」などにおいて、一定の対策は図られてきたものの、未だに先進国の中でも貧困率は高い状況にあります。貧困問題へのアプローチとして、貧困の実態調査、包括的な政策形成(親の貧困、乳幼児期における貧困対策を含む)、財政支出の検討、自治体における有効な貧困対策部局の設置などがあげられると指摘がありました。

生活困窮者自立支援制度と生活保護制度についても学びました。生活困窮者自立支援事業としては、相談支援事業、住居確保給付金が自治体において必須の事業となっており、任意事業として、就労準備支援事業、一時生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業があります。また、生活保護受給世帯は年々増加しており、特に65歳以上の高齢者の伸びは、100万人に達する勢いです。要因として、所得格差の問題や特に都市部を中心とした生活保護費の削減などがあげられるようです。各自治体に必要な取り組みとして、子ども食堂の支援、学習無料塾の解説、就学援助などの拡充、ひとり親家庭の居場所づくりなどがあげられると指摘がありました。

子どもの貧困は大きな社会問題となっており、総じて親の貧困でもあり、その解決は喫緊の課題となっています。出雲市においても生活保護や学校で就学援助を受ける子どもの割合は一向に減少していません。先進的な取り組みで紹介のあった大阪市、明石市などの取り組みも参考としながら、自治体の子どもの発達と権利保障に対する責任を示すことはもちろん、貧困の調査、削減目標などを定める貧困対策条例の制定も視野に入れた取り組みが必要だと感じました。

 

●公共施設の再編問題

まち・ひと・しごと創生事業の中では、各自治体に居住機能や福祉・商業などの都市機能の立地や公共交通充実に関する立地適正化計画の作成が求められています。そして、国は立地適正化計画と公共施設等総合管理計画の相互連携が重要であり、公共施設の縮減による更新費に削減、人件費や委託費などの経常的経費の削減、地域のコンパクト化を通じた財政コストの削減を求めており、国も有利な財政措置により支援しています。背景として、財源確保の見通しが立ちにくい中で、社会保障費が増大し、その増加分は投資的経費などを抑えることによってカバーされざるを得ないことから、国の財政再建の圧力が強まることによって、その負担はますます地方財政と公共事業に向かうと指摘されました。

公共施設再編にはさまざまな事例があり、マネジメントの策定(統廃合)を優先する相模原市、マネジメントの実行力を優先する浜松市などの先行事例についても学びました。そして、公共施設の再編・統廃合の原則として、まちづくり計画の中への位置づけ、住民の納得・融和、住民参加・価値観の共有・寛容性による地域コミュニティの質の向上が重要であると指摘されました。

出雲市においても学校・体育館・文化施設などをはじめとした公共施設、橋梁、公共施設などの統廃合や長寿命化の議論が進められていますが、単なる財源確保や統廃合ではなく、それをどのように利活用すれば住民・コミュニティが元気に活性化するのかが重要だと感じました。

講演する森裕之氏

講演する森裕之氏

受講のようす

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