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空き家活用特別委員会視察

2019年 11月 21日

― 3市の取り組みを行政視察 ―

●岐阜県各務原市(DIY型空き家リノベーション事業などについて)

各務原市では、平成27年度に職員提案制度により「DIY型空き家リノベーション事業」が採用されたのをきっかけとして、平成28年度には国のモデル事業の採択を受け、事業スキームの作成を業務委託により策定されています。この事業は、DIYを前提として貸主が修繕業務を負わない代わりに安く空き家を貸し出し、借主が自費で修繕を行い、退去時の原状回復義務がない契約となっており、貸主、借主ともに相互メリットがあると言えます。これまでに27件の契約が成立していますが、貸主、借主の契約は不動産業者が行い、行政側から補助金などの支出は一切なく、実質的にゼロ予算となっています。

また、活用を重点として行っている空き家対策と違い、市の魅力を発掘・創生して発信することにより、地域のイメージ形成、都市のブランド力を高め、まちづくりにさまざまな効果を波及させる「シティプロモーション」として行っていることが特徴と言えます。そのほか、空き家の適正管理(予防)として見守りサービスや自治会との連携、出前講座なども実施されていますが、さまざまな自治体で創設されている空き家バンク制度は設けていないとの話でした。

出雲市では市街地の空き家を中心に主に店舗として貸し出しているケースはありますが、売却希望の空き家が多いのが実状です。DIY型の是非は別にしても移住者または学生に安価で貸し出すという手法も模索しながら活用を図っていくことも必要であると感じました。

各務原市との意見交換

各務原市との意見交換

●岐阜県羽島市(空き家予防・増加抑制の取り組みについて)

羽島市では平成25年度に市内の空き家が倒壊し、通学路の変更が生じた事案から、平成26年度に組織横断的な取り組みとして庁内プロジェクトチームが設置され、対策に本格的に取り組まれています。以降、平成28年度には「空家等対策計画」を策定し、さらに準空家等、緊急措置、災害時の情報提供などを盛り込んだ「空家等対策の推進に関する条例」が制定されています。平成29年度には国土交通省の先駆的空き家対策モデル事業の採択を受けています。この中では、空き家の流通として安心して取引するために物件の売買に係る費用調査、所有者への資産の現状確認などを実施し、空き家バンクに登録された物件の見える化を図っています。また、高齢化社会の中、認知症によって判断能力が低下し、空き家の流通を阻害している現状から、信託(財産権は自分のまま名義を託す)の活用を推進するなど特徴的な事業が行われています。

啓発活動も積極的に行われており、「わが家の終活セミナー」や出前講座、地域10町内を巡回してのタウンミーティングなども開催されています。出雲市では空き家バンク制度をはじめ、補助金の創設などさまざまな事業メニューはあるものの、空き家の現状や予防策などについての啓発活動が少ないのが現状です。羽島市の取組みを参考としながら、住民理解の促進に向け、積極的な情報発信が必要だと感じました。

羽島市との意見交換

羽島市との意見交換

●奈良県奈良市(空き家の利活用事例・空き家活用住宅支援事業について)

奈良市では、自然豊かな里山にある空き家の有効活用を目的とし、人口の少ない東部7地域を対象として、平成28年度から空き家バンク制度が創設されています。これまでに46戸の物件登録があり、うち21戸が空き家バンクを通じて賃貸や売買の成約に至っています。現状では登録物件7件となっていますが、買いたい・借りたい人が122件と圧倒的に多いことが奈良市のブランド力を示していると言えます。また、空き家・町家バンク活用補助金として利用希望者には購入費補助といて2分の1の補助(上限50万円)、所有者または利用者の改修費補助として2分の1の補助(上限50万円)、所有者の荷物撤去費用として全額補助(上限20万円)など充実した補助メニューが特徴となっています。そのほか、平成28年度および29年度には、国のモデル事業を活用して主に町家の空き家住宅を対象として滞在体験施設、交流施設、体験学習施設などとして8件が改修され、空き家の有効活用および古い町並みの活性化につながるとともに住民への理解促進にも役立っています。

空き家の予防・発生抑制を目的とした施策としては、プロポーザル方式を導入してNPO法人に空き家総合窓口業務を委託しており、相談業務をはじめ、年3回以上の「空き家セミナー」や個別相談会などが積極的に開催されています。

特定空家などの解消を目的とした施策としては、「老朽危険空家等除却費補助金」として、除却に要する費用の一部(特定空家:30万円、不良空家:20万円)を補助しています。平成28年度以降、21件もの空き家が補助金を活用して除却されていることは珍しい事例であると思います。

買いたい人・借りたい人が圧倒的に多いことや特定空家などの除却が進んでいることなど、出雲市とはかなり状況が違っていると感じました。地理的条件や環境が違う側面もあるとは思いますが、出雲市の対策として、空き家に関する住民理解促進のための啓発活動、空き家活用に関する情報発信に課題があると感じました。

奈良市との意見交換

奈良市との意見交換